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VMN セミナー情報

  • 専門医に学ぶ講演会
  • 科目
開催日: 2012年7月8日(日) / 2012年7月14日(土)

外科学セミナー 2012 /第20回 外科セミナー

会 場: 横浜:ベイサイドアニマルクリニック 他

講師

Gilbert Robello, DVM, Diplomate ACVS, MS
PetCare Veterinary Hospita

演題

7月8日(日)
実習セミナー
7月10日(火)
研修獣医師のための講演会

「消化器外科における合併症」
敗血症性腹膜炎に対する外科的管理も含む

7月12日(木)
実習セミナー
7月11日(水)
研修獣医師のための講演会

「消化器外科における合併症」
​敗血症性腹膜炎に対する外科的管理も含む

関連ハンドアウト(参考資料)

  • 消化器外科における合併症(ご講演資料)
    敗血症性腹膜炎に対する外科的管理も含む

オンデマンド

消化器外科における合併症 Vol.1
  • 一般外科/麻酔科

●消化器外科での深刻な合併症は漏出による感染である
●消化器外科の適応(バイオプシー、異物、主要、GDV、外傷など)●口から遠ざかるほど細菌数は増え、病原性も増える。消化器外科は順清潔手術(10%程の感染率がある)
●消化管の創傷治癒
炎症期(術後0〜3日)、増殖期(術後3〜14日)、成熟期に分かれる。

消化器外科における合併症 Vol.2
  • 一般外科/麻酔科

●治癒に影響をおよぼす因子は、局所性および全身性因子に分けられる。●胃の手術
噴門、幽門の内腔を維持するのが大切。流出路では膵管や胆管の開口部に注意。また膵臓の取り扱いにも注意。
手術前にできるだけ内容物を取り除く処置をしておいたほうがよい。
縫合は吸収糸で一層か二層縫合する。縫合法はお好みで。

消化器外科における合併症 Vol.3
  • 一般外科/麻酔科

●GDVの合併症
以前は救命率30%と言われていたが、現在は90%との報告もある。
早期減圧を行う。トロッカーなども用いる。その後、胃チューブを通す。
その後できるだけ早期に胃の捻転を修復する。●胃壊死の診断
凝固系のパラメーターに1つでも異常があれば70%疑われる。
組織の生存性の評価する上で一番指標としているのは色。次に厚み。疑いがあれば切開して出血の有無を確かめる。
捻転を戻した後はしばらく観察を行う。
広い範囲の壊死は切除するが、狭い範囲であれば胃内に内反させて縫合する。

消化器外科における合併症 Vol.4
  • 一般外科/麻酔科

●GDVの死亡を予測する指標
臨床症状期間、重症度、不整脈の有無、DIC、血清乳酸値など。
シンプルな胃固定で3%程度、胃壁切除9〜10%、脾臓切除などまで必要な場合は20%程の死亡率。
術前からある不整脈やDICにも注意。
血清乳酸値6mmol/L以下なら99%の生存率。それ以上になると生存率が60%ほどになる。●胃固定術の術式
様々な固定法がある。目標はみな同じで幽門洞付近の胃を体壁に固定する。●予防的な固定術
GDVの再発率は低く見積もっても54%。
避妊手術などで腹腔にアプローチする機会があれば予防的に腹壁固定術をしては?
犬種によるGDV発生率は大型犬、超大型犬では20%もある。特にグレートデンは生涯罹患率が50%以上もある。

消化器外科における合併症 Vol.5
  • 一般外科/麻酔科

●切開胃腹壁固定術
正中切開でアプローチして、腹壁に胃を固定する。(詳しくは解説参照)
チューブ固定術は失敗が多く報告されている。一番強度があったのは肋骨周囲固定術。
固定術を正しく行えば、合併症はあまりないと考えている。

消化器外科における合併症 Vol.6
  • 一般外科/麻酔科

●質問
脾臓摘出を行わなければいけないのは、脾臓の血管の離断、血流障害や整復後も肥大や血流障害が治らない場合だが、血流が温存されていればできるだけ温存する。
胃固定術を行った後に、他の外科手術時に注意する点は特にない。
再固定の場合は、体壁の傷とうまくあうようなら元の場所を用いるが、そうでなければ新しい切開層を作る。

腸管手術における合併症 Vol.1
  • 一般外科/麻酔科

●腸管手術における合併症
一番重要なのは手術手技である。●Halsteadの原則
組織を丁寧に扱う。血管分布を温存する。壊死組織を除去する。創傷は張力をかけずに閉鎖する。デッド・スペースを作らない。厳密な無菌操作。 ●器具
Doyen腸鉗子、リング・ハンドル・ブルドック血管鉗子

腸管手術における合併症 Vol.2
  • 一般外科/麻酔科

●消化器外科-手術手技
粘膜下織は保持層である。結節縫合vs連続縫合パターン(統計的には差はない)、並置するためのテクニック、適切な縫合間隔(細かくしすぎない)
直接並置させ、内腔を維持し、癒着を防ぐ。内反を目指し、外反や重複を避ける。組織を挫滅させるような縫合法は避ける。
外反した粘膜はトリミングする。外反する場合はGambee縫合変法を用いるとよい。全部に用いるのではなく外反する場所のみ用いるのもよい。

腸管手術における合併症 Vol.3
  • 一般外科/麻酔科

●縫合糸の選択
吸収糸では強度が十分な期間維持されるものを選択する。モノクリルはやや強度の維持が短い。バイクリル、デキソン、PDSは十分に維持できる。
非吸収性ではポロリン、ナイロンを用い、ガットや絹糸、ポリエステルは使用しない。●ステープリング法
素早く腸管吻合術が行え、合併症も低い。欠点は費用。
TA-55(胸部、腹部用)、GIA-50(腸管吻合用)
機能的な端々吻合が得られる。クロッチ部分は弱いので強化する。●漏出試験
すべての腸管吻合術で重要である。低い圧をかける。

腸管手術における合併症 Vol.4
  • 一般外科/麻酔科

●体網の利用
体網は非常にすばらしい臓器で、腸管手術に利用できる。必ず吻合箇所などを多い、縫い止める。●漿膜パッチ法
治療を大きく補助する。用いれるのであればどこの漿膜でもよい。●腸管手術における合併症
漏出の危険性は色、動脈拍動、蠕動の有無、触診を合わせて判断する。
パルスオキシメーターやフルオレセインを用いた確認法もある。

腸管手術における合併症 Vol.5
  • 一般外科/麻酔科

●腸重責
特に仔犬等、弱齢の動物で、嘔吐、腹痛があり、ソーセージ様の腸管が触診される。●腸ひだ形成術
わざと癒着部を作り再発の防止。

腸管手術における合併症 Vol.6
  • 一般外科/麻酔科

●線状異物
ガス像がある場合は時間をおいてレントゲン撮影を行う。動きが無ければおかしいと判断。
近位を切開して異物を解除する。

腸管手術における合併症 Vol.7
  • 一般外科/麻酔科

●腸内異物
異物だけでなく、他の部分も確認することを忘れないこと。
切除再吻合などは正常な組織で行うことを忘れないように。●腸管腫瘍
特に猫では漏出、腹膜炎が起こる。しっかりとマージンを取って切除する。●広範囲の腸管切除
60%くらいまでは可能だとされてる。それ以上であれば制酸剤の投与を行うことで70〜80%も可能。

腸管手術における合併症 Vol.8
  • 一般外科/麻酔科

●再吻合後に漏出に対するその他の危険因子
腹膜炎、低アルブミン血症、低血圧、腸管内異物、栄養状態、グルココルチコイド(術後3日目まで避ける)、癌の治療 ●早期給餌の影響
早期給餌をしても合併症率が高まるということはなく、逆に治癒を早めることが分かっている。

腸管手術における合併症 Vol.9
  • 一般外科/麻酔科

●細菌転位
何らかの運動性の低下により細菌の過剰増殖が起こる。
細菌転位が見られると敗血症の罹患率も高くなる。
基礎疾患を対処して早期に腸管に栄養を補給すること(早期給餌)が重要である。 ●質疑応答
術後に整腸薬を飲ませることは有効か?
はっきりは分からないが正常など腸内細菌叢を取り戻すということで意味があるかもしれない。

腸管手術における合併症 Vol.10
  • 一般外科/麻酔科

●敗血症性腹膜炎
病因は多くのものがある。重度になると続発性多臓器不全が起こる。予後は要注意から不良である。30〜70%の死亡率である。●腹腔-防御 ●敗血症性腹膜炎の分類
原発性、続発性、三次性に分類でき、局在性、広汎性に分けられる。●原発性敗血症性腹膜炎
腹腔内の感染源を確認できず、ほとんどはグラム陽性菌。通常は単一菌。

腸管手術における合併症 Vol.11
  • 一般外科/麻酔科

●続発性敗血症性腹膜炎
最も多いタイプで消化管が原因であることが多い。通常は多菌性。消化管内容物や胆汁や尿等化学的な障害も併発していることが多い。
敗血症性腹膜炎の38-75%が消化管原因であり、死亡率が高い。様々な原因がある。胆汁はアジュバントとしても作用する。

腸管手術における合併症 Vol.12
  • 一般外科/麻酔科

●敗血症性腹膜炎の臨床症状
年齢、品種、性別による素因はなく、非特異的である。多くは腹痛、腹水貯留がある。症状は病態の持続時間にもよる。
はじめ高体温や心拍数の増加が起こるが代償できなくなると逆にこれらは低下する。●その他のヒストリー●敗血症性腹膜炎の評価
超音波検査は一番腹腔内に貯留した液体の有無を診断するために一番感度が高い。
敗血症性腹膜炎の場合、レントゲン検査で自由ガス像が認められることがある。ラテラルでは胃と横隔膜、DVでは横隔膜と肝臓の間。

腸管手術における合併症 Vol.13
  • 一般外科/麻酔科

敗血症性腹膜炎の重要な診断検査は腹腔穿刺である。
腹水が少ない時にはDPL試験的腹腔内洗浄法10〜20ml/kgのリンゲル等を腹腔内に入れて洗浄し採取する。
EDTAチューブで細胞診、血液凝固チューブで培養や感受性試験、生化学分析を行う。
細胞診では多くの中毒性白血球が認められる。
細菌などは認められなくても腹水の生化学分析で末梢血と腹水のグルコース濃度の差が20mg/dl以上あったり、55mg/dl以下であれば腹膜炎の可能性が非常に高い。
乳酸値やビリルビン値も腹水のほうが末梢血より高ければ、腹膜炎を疑う。クレアチニンは尿路系の障害を疑う。●敗血症性腹膜炎の予後
予後は要注意〜不良。死亡率は30-70%。
予後を悪くする因子は、術前の難治性低血圧、アルブミンの低値、弱齢、高齢、診断の遅れ、下方腸管(結腸)からの汚染など

腸管手術における合併症 Vol.14
  • 一般外科/麻酔科

●敗血症性腹膜炎の内科治療
まず安定化をはかるために輸液、血液製剤、昇圧剤、抗生物質、疼痛管理などを行う。
尿の排泄量などにも注意する。
ステロイドの投与(プレドニゾロン0.1〜0.3mg/kg 12-24時間毎、デキサメサゾン0.01-0.04mg/kg 12-24時間毎)●敗血症性腹膜炎の外科手術
大量の液体で腹腔内洗浄を行い、汚染物質を希釈する。術後ドレナージを考慮する。その後、フィーディングチューブ等で栄養補給を行う。●洗浄
大量の洗浄液とは、猫サイズで数リットルの洗浄。以前は腹腔内に液体を残していたほうがいいと言われていたが、防御作用を妨げるので、できるだけ除去したほうがよい。
抗生物質などの添加は有効性が示されていないので、推奨しない。ポピドンヨードは死亡率を増加させる。

腸管手術における合併症 Vol.15
  • 一般外科/麻酔科

●ドレナージ
ドレナージに関しては様々な意見がある。問題に完全に対処できれば必要ないが、そうでなければドレナージが必要と考える。
VAC(持続陰圧吸引)を用いるのか開放式にするのか閉鎖式にするのかなどなど様々な組み合わせがあるが、データ的にはあまり大差ない。
ドレナージの利点は貯まってくる液体を持続的に除去でき、体液量が把握でき、細胞診等で継続的に状態を把握できる。
ドレナージには腹膜透析に用いるカテーテルなどを使うこともある。
欠点は、どのテクニックを用いても効果的でない可能性があり、ドレーンが閉塞したり、タンパク質と電解質の喪失がおこったり、院内感染をおこす。
ドレーンは細胞診を見ながら除去時期を決定する。2〜3日での除去を目標にする。

腸管手術における合併症 Vol.16
  • 一般外科/麻酔科

●開放式腹腔ドレナージ
皮膚と白線を不完全に縫合して一部解放させておく。液体は滅菌ガーゼなどでキャッチして量を測定する。頻回に交換が必要。
利点は排液が妨げられず、嫌気性菌であれば役立つ。最終的に再度腹腔を観察して閉鎖できる。
欠点は大量に体液、タンパク質を喪失し、院内感染、看護の増加と費用の増加が考えられる。一時期は人気であったが、最近はあまり人気がない。●一次閉鎖するのは
汚染源を排除でき、洗浄が十分にできて、内科的管理が十分に行える場合は一次閉鎖を行う。●術後管理
術後もしっかりと管理する。疼痛緩和をしっかりと行う。消化管の問題なのでNSAIDsが使えないのでオピオイドを使う。●まとめ

動画要約(全文)

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